前回の記事では、「一、融資の形式」に注目して、融資を証書貸付、手形貸付、手形割引、当座貸越の4種類に分類しました。

今回はそれ以外の、以下の分類方法を確認しましょう。

二、貸し手による分類

三、担保の有無による分類

四、保証の有無による分類

 

二、貸し手による分類

融資はその貸し手により、大きく「公的融資」と「民間融資」に分けられます。

公的融資とは公的金融機関(国が関与する金融機関)からの融資です。

日本政策金融公庫(国金)がその代表ですが、他に商工組合中央金庫(商工中金)などがあります。

これに対して民間融資は民間の銀行、信用金庫、信用組合からの融資です。

融資金額は通常は民間のほうが大きく、いっぽう金利については、変動金利の民間に対して、公的融資は固定金利で行われる安心感があります。

何よりも創業段階の事業者、ごく小規模の事業者にとっては民間融資はハードルが高く、大半が公的融資を利用しているのが現実です。

今世紀に入り、政府主導で公的金融機関の役割を削ろうとする動きが見られます。

でも結局、民間金融機関の姿勢が変わらなければ、借り手である中小企業の利便性だけが失われるのではないでしょうか?今後の議論は要注目です。

ちなみに、信用保証協会の保証つきで銀行から融資を受けるのは公的融資でしょうか、民間融資でしょうか?

保証協会は公的機関ですが、この場合の融資そのものはあくまでも銀行が行います。したがって「公的保証がついた民間融資」というのが適当な表現でしょう。

 

三、担保の有無による分類

「有担保融資」と「無担保融資」は文字通り、金融機関に土地建物などの担保を提供しているかどうかによる分類です。

土地建物や有価証券などの担保を「物的担保」と呼び、対して保証人のことを「人的担保」と呼びます。保証人も担保の一種というわけですね。
「有担保」は一般的に、物的担保を提供する場合に使われる言葉です。

従来、わが国の金融機関は大きく「担保主義」、すなわち事業内容よりも担保を重視する傾向にありました。

担保を提供できない創業期の企業は、無担保でも利用できる日本政策金融公庫(国金)の創業融資などを頼るしかなかったわけです。

今世紀に入り、金融庁の指導もあって銀行の担保主義は薄れつつあるように見えますが、この流れが続くかどうか、まだまだ注目が必要です。

 

四、保証の有無による分類

融資には「保証付き融資」と「プロパー融資」という分類もあります。

わが国では企業(法人)が融資を受ける場合、ほぼ必ず代表者(社長)が保証人に入ることと求められます。

但し、ここで言う「保証」はそういうものではなく、各都道府県の信用保証協会や大手信販会社の保証を指します。

このような保証があれば、金融機関は低リスクでの融資が可能になるので、創業期の企業でも融資を受けやすくなるのは事実です。

もっともその分、借り手には「保証料」という名目で、利息以外の負担が発生することになります(保証協会については、別の記事であらためて解説いたします)。

 

これに対して「プロパー融資」とは、そのような外部機関の保証がない融資です。
「プロパー」というのは日本語で「自分の」「自前の」というような意味ですね。

プロパー融資には、相応の業績や業歴、あるいは保証付き融資の利用実績などが求められます。

創業期の企業が、民間金融機関からいきなりプロパー融資を受けることは非常に困難と言えるでしょう。